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【技術ブログ】半導体ウエハ搬送装置の石英部品向けPFAフッ素樹脂コーティング

PFAコーティングによって何が変わるのか?


 シリコンウエハを搬送する装置で使用される石英製の部品は、非常に厳しい環境にさらされます。ウェットプロセスでウエハを搬送・保持・支持する部品も同様に、強い薬液、繰り返し洗浄、継続的な薬液接触の影響を受ける部品でもあります。石英は高い純度と寸法安定性から、半導体製造装置部品の様々な箇所で採用されますが、その純度が高いからといってフッ酸による影響を防げるわけではありません。また、寸法が安定していても、何十回、何百回と工程を繰り返した後まで表面に残渣が付着しないとは限りません。
 フロロコートでは、シリコンウエハ搬送装置やウェットプロセス装置で使用される石英部品に、PFAフッ素樹脂コーティングを施工しています。本コラムでは、どのような部品に効果が期待できるのか?、PFAコーティングがどのような役割を果たすのか?、そして適用上の限界について解説します。

ポイント

ウエハ搬送装置のどの石英部品にコーティングするのか?

 半導体製造工場で使用されるすべての石英部品が、PFAコーティングの対象になるわけではありません。特に効果を期待しやすいのは、液体薬品と継続的に接触する部品、あるいはウエハそのものと接触する部品です。

 共通しているのは、「接触」と「薬液」の両方があることです。一方、石英製のビューポートや炉心管は、同じような形で液体薬品やウエハと接触するものではなく、この処理に適した用途ではありません。

なぜ未処理の石英はウェットプロセスで問題になるのか?

 石英は二酸化ケイ素(SiO₂)であり、フッ酸は二酸化ケイ素を溶解します。これは無視できる程度の影響ではありません。HF系のエッチング・洗浄薬液中では、未処理の石英キャリアは浸漬されている間に徐々に侵食されます。その結果、表面が粗くなり、寸法が変化し、さらに侵食された材料自体がコンタミの要因になる可能性があります。
 表面粗化は別の問題も引き起こします。平滑な石英表面では比較的液切れが良くても、エッチングによって粗くなった表面は液を保持しやすくなります。浴槽間での液の持ち出しが増え、クロスコンタミネーションのリスクが高まり、その補償のためにリンス時間を延ばさなければならない場合があります。高純度であることを理由に選ばれた部品が、使用を続けるうちに清浄性を制約する要因になることがあります。

PFAコーティングによって何が変わるのか?

 PFA(パーフルオロアルコキシ)は、HFを含む一般的なウェットプロセスで使用される酸、アルカリ、溶剤に対して高い化学的安定性を持つフッ素樹脂です。石英上に施工すると、プロセス薬液が石英基材ではなくPFA膜に接触するため、基材を保護するバリアとして機能します。
 もう一つの効果は、表面エネルギーの低さです。PFAは表面エネルギーが非常に低いため、水系薬液が表面全体に広がって残るよりも、液滴になって排出されやすい傾向があります。実際の工程では、キャリアが浴槽から持ち出す液量の低減、液切れ時間の短縮、乾燥後に接触部へ残る残渣リングの低減などにつながります。

PFAコーティングの主な特性と石英搬送部品への効果

 

PFAコーティングの特性 石英製ウエハ搬送部品で期待される効果
 化学的安定性  HFやその他のエッチング薬液が石英基材へ到達し、基材を侵食することを抑えます。
 低い表面エネルギー  浴槽間での液の持ち出しを減らし、液切れやリンスに要する時間の短縮につながります。
 平滑で非多孔質の膜  ウエハ接触部に残る残渣を抑え、繰り返し洗浄時の再現性向上に役立ちます。
 溶融加工が可能なフッ素樹脂  焼結PTFEとは異なり、複雑形状に対して連続したピンホールの少ない膜を形成できます。
 寸法保護  石英自体のエッチングを抑えることで、キャリアや治具形状の長期的な安定維持に役立ちます。

適用上の限界

 装置設計者が特に注意すべき点は、大きく二つあります。

1.温度

 一つ目は温度です。PFAの連続使用温度の目安は約260℃です。ウェットプロセス、搬送、移載、常温保管などの工程では十分に対応できる範囲ですが、拡散炉、酸化炉、アニール工程のように石英ボートがそれより数百度高い温度にさらされる用途には適しません。PFAコーティングした石英部品は、主としてウェット側の工程で使用するものと考える必要があります。

2.コーティング範囲

 二つ目は被覆範囲です。コーティングには膜厚が加わるため、どの面にも施工できるわけではありません。シール面、精密な基準面、光学窓、厳しい寸法公差が要求される部分などは、コーティングを避ける必要があります。これらの部分にはマスキングが必要になるため、施工後ではなく、コーティング仕様を決める段階で事前に範囲を確認することが重要です。

コーティングを依頼する際に確認したい事項

 次の情報が事前に整理されていると、実際に使用できるコーティング仕様をより早く、適切な検討ができます。

 なかでも、現在の「故障・交換理由」は非常に重要な情報です。エッチングによる侵食で交換しているキャリアと、パーティクル数の増加を理由に交換しているキャリアとでは、必要となる仕様が異なります。

フロロコートは、適切なコーティング仕様を提案します。

 フロロコートは約70年にわたり、半導体、自動車、各種産業機器分野のメーカー向けに、精密部品へのフッ素樹脂コーティングを手がけてきました。石英製ウエハ搬送部品は、その中でも要求の厳しい用途の一つです。薄肉の基材、複雑な形状、厳しい清浄度要求、そしてウエハ接触部でコーティング欠陥を許容できないといった条件があります。
 フロロコートでは、一律の固定仕様を当てはめるのではなく、各部品が実際に使用される薬液条件や搬送条件に合わせて、膜厚、コーティング範囲、マスキング範囲等を設定します。定期的に交換している部品の場合では、最初に確認する事項は「どの種類のフッ素樹脂コーティングを使うのか?」ではなく、「現在の部品がなぜ交換に至っているのか?」です。

まずはフロロコートへご相談ください!

 プロセス薬液による侵食が進んでいる石英キャリア、ボート、搬送治具、あるいはパーティクル増加の要因となっている部品はありませんか?
 部品の使用条件をお知らせいただければ、当社のPFAコーティングが適用できるか?、適用可能であれば、どの程度の膜厚を確保すべきか?等を検討いたします。

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