▶︎ PFASとは
Per and Poly Fluoro Alkyl Substances :パー及びポリフルオロアルキル物質
PFASは国際的に統一された定義がありませんでしたが、2021年にOECDが「少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチル基またはメチレン基を含む物質(フッ素化されたメチル(-CF3-)又はメチレン(-CF2-)」という構造ベースの広い定義をしたことで、多くの有機フッ素化合物が対象となっています。その数は、1万種以上あるといわれています。以前はPFASではなく、PFC( Perfluorocarbon
)やPFAA(Perfluoroalkyl Acids)という呼称が使用されていました。
これらのPFASの中で人体、環境に対して高い蓄積性がある(PFOS 、PFOA 、PFHxS、LC-PFCA)を
特定PFASとして、フッ素樹脂と区別しています。
特定PFAS は、 国際条約及び各国において 製造、使用等が規制されています。
日本においても、 化審法の「第一種特定化学物質」として、原則製造又は輸入の禁止及び使用が制限され、
フロロコートでもこの規制に則した塗料を使用したコーティングを行っています。
▶︎ 特定PFASとふっ素樹脂の違い
▶︎ 規制対象になっているPFASの位置づけ
▶︎ 国内での規制対象(特定PFAS)
参考リンク先:環境規制について<日本フルオロケミカルプロダクト協議会>
| ①PFOS | ②PFOA | ③PFHxS | ④LC-PFCA |
| 規制の対象 | ペルフルオロオクタンスルホン酸とその塩及びPFOS関連物質 | ペルフルオロオクタン酸とその塩及びPFOA関連物質 | ペルフルオロヘキサンスルホン酸とその塩及びPFHxS関連物質 | 長鎖ペルフルオロカルボン酸とその塩及び関連物質 |
| 化学式の例 | CF3(CF2)7SO3- | CF3(CF2)6COO- | CF3(CF2)5CO3- | CF3(CF2)nCOO- ※n=7~19 炭素数:9~21 |
| 国際的な規則 | POPs条約COP4(2009年)にて、付属書B(制限)に追加 | POPs条約COP9(2019年)にて、付属書A(廃絶)に追加 | POPs条約COP10(2022年)にて、付属書A(廃絶)に追加 | POPs条約COP12(2025年)にて、付属書A(廃絶)に追加
|
| 国内の規制 | 化審法 第一種特定化学物質に指定 2010年4月1日施行 | 化審法 第一種特定化学物質に指定 2021年10月22日 施行 | 化審法 第一種特定化学物質に指定 2024年2月1日施行 | 化審法 第一種特定化学物質に指定2026年11月22日施行 |
| その他 | 主な用途:塗料のレベリング剤 | 主な用途:食品包装紙 | 主な用途:泡消火剤 | 主な用途:はっ水剤 |
| ①PFOS |
| 規制の対象 | ペルフルオロオクタンスルホン酸とその塩及びPFOS関連物質 |
| 化学式の例 | CF3(CF2)7SO3- |
| 国際的な規則 | POPs条約COP4(2009年)にて、付属書B(制限)に追加 |
| 国内の規制 | 化審法 第一種特定化学物質に指定 2010年4月1日施行 |
| その他 | 主な用途:塗料のレベリング剤 |
| ②PFOA |
| 規制の対象 | ペルフルオロオクタン酸とその塩及びPFOA関連物質 |
| 化学式の例 | CF3(CF2)6COO- |
| 国際的な規則 | POPs条約COP9(2019年)にて、付属書A(廃絶)に追加 |
| 国内の規制 | 化審法 第一種特定化学物質に指定 2021年10月22日 施行 |
| その他 | 主な用途:食品包装紙 |
| ③PFHxS |
| 規制の対象 | ペルフルオロヘキサンスルホン酸とその塩及びPFHxS関連物質 |
| 化学式の例 | CF3(CF2)5CO3- |
| 国際的な規則 | POPs条約COP10(2022年)にて、付属書A(廃絶)に追加 |
| 国内の規制 | 化審法 第一種特定化学物質に指定 2024年2月1日施行 |
| その他 | 主な用途:泡消火剤 |
| ④LC-PFCA |
| 規制の対象 | 長鎖ペルフルオロカルボン酸とその塩及び関連物質 |
| 化学式の例 | CF3(CF2)nCOO- ※n=7~19 炭素数:9~21 |
| 国際的な規則 | POPs条約COP12(2025年)にて、付属書A(廃絶)に追加
|
| 国内の規制 | 化審法 第一種特定化学物質に指定2026年11月22日施行 |
| その他 | 主な用途:はっ水剤 |
▶︎ 国内でこれから規制が検討される物質
| ⑤高分子化合物(ポリマー:樹脂、ゴム) |
| 規制の対象 | パーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物
|
| 化学式の例 | -CF3-(CF2)n-
①~④を含む幅広い物質群
(フッ素樹脂、フッ素ゴムなど)
|
| 国際的な規則 | 欧州では、用途によっては代替困難性を踏まえた適用除外や長期猶予が検討されています。米国では連邦と州で違いがあります。 |
| 国内の規制 | なし |
| その他 | 幅広い用途に使用(コーティング、繊維等) |
フッ素樹脂・フッ素ゴムは、化学的及び生物学的に安定しており、生体蓄積性がなく且つ毒性がないことを意味する低懸念ポリマーのOECD 基準を満たしています。
また、内閣府の食品安全員会が作成したファクトシートには、国際がん研究機関(IARC)は、フッ素樹脂の1つであるPTFEに対して、グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)と評価しています。
▶︎ PFAS Q&A
Q1そもそもPFASとは何ですか? 御社のフッ素樹脂コーティングもPFASに含まれるのですか?
A.
PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)とは、炭素とフッ素の結合を持つ有機フッ素化合物の総称で、PTFE・PFA・FEP・ETFEなどのフッ素樹脂もこの定義に含まれます。そのため、当社が使用するフッ素コーティング材料も広義のPFASに該当します。
ただし、現在の日本(化審法)および国際規制において問題視・規制対象とされているのは、主にPFOS・PFOA・PFHxS・LC-PFCAなど低分子量のPFASです。また、最近はTFA(様々なPFASが環境中で分解し生成される物質といわれている)が注目され始めています。PTFEなどのフッ素樹脂は、環境中への溶出・蓄積性が極めて低く、現時点では各国規制の対象外となっています。
「PFAS=すべて危険・規制対象」ではないことをまずご理解ください。
Q2フロロコートのフッ素樹脂コーティングは、現行のPFAS規制(化審法)の対象になりますか?
A.
現時点では対象外です。
日本の化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)において、第一種特定化学物質として規制されているPFASは、PFOS・PFOA・PFHxS・LC-PFCAの4物質です(LC-PFCAは2026年11月施行)。
当社が使用するPTFE・PFA・FEP・ETFEなどのフッ素樹脂は、これらの規制物質に該当しないため、現行法上、製造・使用・販売のいずれにも法的制限はございません。
なお、規制動向は継続的に変化しておりますので、当社では最新情報を常時モニタリングし、状況が変わり次第、速やかにご案内いたします。
Q3規制対象物質であるPFOS・PFOA・PFHxS・LC-PFCAは、コーティング工程で使用していますか?
A.
使用しておりません。
当社のフッ素樹脂コーティングに使用する主材料はPTFE・PFA・FEP等のフッ素樹脂であり、日本の化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)において第一種特定化学物質に指定されているPFOS・PFOA・PFHxS、LC-PFCA(2026年11月22日施行)およびそれらの関連物質は、コーティング材・前処理剤・添加剤のいずれにも意図的には使用しておりません。
ただし、フッ素樹脂の製造工程において、これらの規制物質が微量に副生する場合があります。この場合、化審法の「BAT(利用可能な最良の技術)原則」に基づき、工業技術的・経済的に可能な水準まで低減された材料については、規制物質としての扱いを受けないものとして取り扱われています。当社が使用する一部材料はこのBAT原則に基づく管理がなされたものを使用しております。
なお、プライマー・バインダー・表面処理剤などの材料についても、定期的にメーカーへ成分確認を行い、管理しております。詳細な使用材料リストの確認が必要な場合は、個別にご相談ください。
Q4PTFE・PFA・FEPコーティングは今後も継続して使用できますか?
A.
現時点では継続使用可能です。
PTFE・PFA・FEPなどのフッ素樹脂は、日本の化審法でも、EUのREACH規則でも、米国EPAの規制においても、現在のところ規制対象に指定されていません。フッ素樹脂は、分子量が大きく環境中に溶出・拡散しにくいため、他の低分子PFAS(PFOS等)とは区別して扱われています。
ただし、EUでは約1万種類のPFASを対象とした包括的な制限提案の審議が進んでおり、最速で2028年頃に公布される可能性があります。当社ではこうした動向を踏まえ、代替材料の検討も並行して進めております。
Q5RoHSやREACHの証明書、PFAS不使用証明書を発行してもらえますか?
A.
発行対応しております。具体例として、以下の証明書・書類などについて対応可能です。
- REACH規則 SVHC不含有証明書(現行SVHCリスト対応)
- RoHS指令 適合証明書
- PFOS・PFOA・PFHxS・LC-PFCA不使用証明書(化審法規制物質)
- 使用材料リスト・成分開示(顧客サプライチェーン調査への回答)
なお、証明書の内容は発行時点の規制リスト・使用材料に基づくものとなります。新たな物質がSVHCリストに追加された場合など、規制改定のたびに内容を更新する必要が生じる点をご了解ください。フォーマット指定がある場合もお気軽にご相談ください。
詳しくは「環境規制対策 –
株式会社フロロコート」をご覧ください。
Q6フッ素コーティングを施した製品を廃棄・リサイクルする際に規制はありますか?
A.
現時点において、PTFE等のフッ素樹脂コーティングを施した製品の廃棄・リサイクルに関する特別な規制は日本国内では設けられておりません。廃棄物処理法の一般原則に従った適正処理が求められます。
ただし、フッ素樹脂は焼却時に有毒ガス(フッ化水素等)が発生する可能性があるため、産業廃棄物として専門業者による処理を推奨しております。
なお、今後のEU包括的PFAS規制の動向によっては、製品ライフサイクル全体(廃棄・リサイクルを含む)に影響が及ぶ可能性もあることから、最新規制情報への継続的な注視が必要です。
Q7PFAS規制が強化された場合、代替材料・代替コーティングはありますか?
A.
いわゆる「PFASフリーコーティング」のラインアップはございます。
ただし、難付着性・耐熱性・耐薬品性などといったフッ素樹脂固有の性能を兼ね備えた材料は、現時点では限定的です。お客様の用途・使用環境に応じた代替可能性については、個別にご相談いただくことをお勧めします。
EUにおける規制に関しては、フッ素樹脂が規制対象となる場合でも用途によって、猶予期間(RO1〜RO3)を活用した計画的な移行が可能です。
RO1:18ヶ月の移行期間の後、全面禁止
RO2:18ヶ月+数年から十数年の猶予期間
RO3:厳格管理を条件に継続使用を認める
PFASフリー(非フッ素)コーティングへの代替検討について
フッ素樹脂コーティングは多くの優れた性能を兼ね備えていますが、非粘着性、耐摩耗性・耐熱性・電気絶縁性など、特定の性能には、当社の表面改質加工技術で代替可能なケースがあります。
PFASフリー滑り性コーティング
ナノコート®
すべり性、耐摩耗性に優れた独自加工技術のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)
用途:自動車製造・食品機械などにおける摺動部品など
PFASフリー離型性コーティング
トシカル®Sコーティング
非粘着性コーティング
用途:粘着物による付着障害の防止(金型、搬送ベルトなど)
ファインブラスト
ファインブラスト|FB加工
精密で均一にコントロールされた凹凸を均一に形成する表面処理技術
用途:定量供給効果、美観の向上、樹脂成型ムラの救済など
PAEK(Polyaryl Ether Ketone)系コーティング
耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れたPEEK樹脂やPEKK樹脂コーティング。
用途:摺動部品、化学・半導体関連部品、医療機器部品、航空宇宙関連
PI樹脂コーティング
絶縁性、耐熱性に優れた各種ポリイミド樹脂コーティング。
用途:電気・電子部品、高温絶縁部品など
Q8EU向け製品に御社のフッ素コーティングを使用しても問題ありませんか?
A.
現時点では問題ございません。
EUのREACH規則において、PTFE・PFA・FEP等のフッ素樹脂は現在のSVHC(高懸念物質)リストおよび制限物質リストに含まれておりません。
なお、EUでは2026年頃にECHA(欧州化学品庁)が欧州委員会へPFAS包括規制の最終意見を提出する予定であり、正式な制限決定・公布は最速で2028年頃と見込まれています。
また、2026年8月より食品包装材への一部PFAS使用制限(PPWR)が適用開始となりますが、これは食品包装用途が対象であり、工業用フッ素樹脂コーティングは直接の対象外です。
EU向けの用途・製品カテゴリに応じた個別確認が必要な場合はご相談ください。
Q9米国向け製品の場合、PFAS規制で気をつけることはありますか?
A.
米国では、EPA(環境保護庁)が2024年にPFOS・PFOAを含む6物質について飲料水規制を正式決定しましたが、これは水質基準に関する規制であり、工業製品へのコーティングには直接適用されません。
工業用フッ素樹脂コーティングに関しては、現時点でPTFE等の使用を禁止する連邦規制は施行されていません。ただし、カリフォルニア州など一部の州では独自の化学物質規制が存在し、食品容器・調理器具等の特定用途ではPFAS規制が適用される場合があります。
用途・州・製品カテゴリによってリスクが異なりますので、米国向け製品については個別のご相談をお勧めします。
Q10今後、PFAS規制はどのように変わっていくのでしょうか? 規制強化などのスケジュールを教えてください。
表は画面に収まらない場合、左右にスクロールできます。
PFAS規制のスケジュール・時期の目安
| 地域 |
規制 |
規制内容 |
時期の目安 |
| 日本 |
化審法 |
LC-PFCA 第一種特定化学物質 正式施行 |
2026年11月 |
| EU |
PPWR(包装・包装廃棄物規則) |
食品包装材へのPFAS使用制限 |
2026年8月〜 |
| EU |
EFSA(欧州食品安全機関) |
TFA(トリフルオロ酢酸)※ 安全摂取量を約3.5倍引き下げ (0.05 mg/kg体重/日 → 0.014 mg/kg体重/日) |
2026年7月〜 |
| EU |
REACH包括規制 |
ECHA最終意見 提出 |
2026年末見込み |
| EU |
REACH包括規制 |
公布・段階的施行開始 |
最速2028年頃〜 |
| 米国 |
EPA・SNUR(重要新規利用規則) |
長鎖PFCA(LC-PFCA)を表面コーティングとして含む成形品の輸入は、事前にEPAへの届出・審査が必要 |
施行済み (2020年〜) |
| 米国 |
州レベル:カリフォルニア・ニューヨーク・メイン等 |
繊維・食品包装・調理器具等への使用禁止が段階的に施行 |
2025年〜2032年 |
※TFA(トリフルオロ酢酸)とは
TFAは農薬・フッ素系物質の分解生成物として環境中に生成されるPFASの一種です。
EFSAは2026年7月に新たな科学的証拠に基づき安全基準値を引き下げており、今後の食品・飲料水規制に影響を与える可能性があります。