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技術ブログ
フッ素樹脂コーティングの代表的な特徴に「付きにくさ」があります。一般には「非粘着性」と表現されることもありますが、技術的には「難付着性」と考えた方が正確です。
非粘着は、単に粘着性がない状態を指すことが多く、表面がベタベタしていない材料であれば広く当てはまります。
一方、難付着性は、汚れ、樹脂、粘性物、反応副生成物などが表面に付きにくい、または付いても落としやすい性質を指します。
フッ素樹脂が難付着性を示す背景には、分子表面の性質があります。C-F結合は約486kJ/molと強く、ふっ素原子は炭素鎖の周囲を覆うように存在します。このため、他の物質と強く相互作用しにくく、表面エネルギーが低い状態になります。表面エネルギーが低い材料ほど、液体や汚れが広がりにくく、接触しても濡れにくい傾向があります。
フッ素樹脂(PTFE)の分子モデル
工業用途では、この性質が大きな価値になります。食品機械では生地や糖分の付着低減、樹脂加工では溶融樹脂の付着低減、半導体製造装置では反応副生成物や微粒子の堆積抑制などが期待されます。
ただし「まったく付かない」わけではありません。温度、圧力、相手材の粘度、表面粗さ、膜の摩耗状態によって、付着性は変わります。
また、難付着性を高めるには、樹脂選定だけでなく、表面の平滑性、焼成条件、膜厚、下地処理も関係します。表面が粗すぎれば、汚れが凹部に入り込み、清掃性が悪くなることもあります。逆に、適切に設計されたコーティングは、洗浄時間の短縮、清掃頻度の低減、不良発生リスクの抑制に役立ちます。
「付着されにくさ」を売り文句で終わらせず、何が、どの条件で、どの程度付きにくいのかを整理することが、実用的なコーティング設計につながります。